やちおさんハイブリッド!

Master

  • 有賀 冬
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或る管理人の記録

  • ギャー!大変更新しておりませんでした!
    調子が戻り始めたので、またチョコチョコ更新再開いたします。


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[ 幸福の棲む家 ]

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「ただいま」
「おかえりなさい、あなた」
 ダン、ダンダン!
「騒がしいな。タカシは二階か?」
「そうみたい」
 ダンダンダン!
「元気だな、あいつは。床が抜けるぞ、まったく」
「ふふ、本当ね。イタズラばっかりなんだから」
 ダン!
「顔色が悪いな」
「今日はいろいろあって、気疲れしちゃった」
「どうした?」
「お向かいの西沢さん、いるでしょ? 急におしかけてきて、美顔器買えっていうのよ。四十万もするんですって」
 ダン、ドンドン!
「買ったのか?」
「まさか! でも断っても断ってもしつこいの。ダメなら他のお友達を紹介してくれない? なんて言うのよ。冗談じゃないわ。いいともじゃあるまいし」
「マルチ商法か。厄介だな」
 ドン、ドン。
「でも、困ってたらタカシが助けてくれたのよ」
 ダン!
「へえ?」
「お茶を淹れようと缶を開けたらね……ふふ、クモとバッタが飛び出してきて、西沢さん悲鳴あげて逃げて行ったわ」
「タカシがやったのか?」
 ダン!
「そうみたい、あの子は虫が好きだもの。ふふ、西沢さんたら腰を抜かしてたわ。『この家は悪霊に呪われてる』とか叫んでた」
「なんだそりゃ。失礼だな」
「そうよねえ」
「おーい、タカシ! お母さんを守ってくれてありがとうな!」
 ドン!
「でも、食べ物で遊んじゃダメよ!」
 ドン、ドン!
「聞こえてるのかな」
「聞こえてるわ。賢い子ですもの」
 ダン。
「返事してるみたいだ」
「タカシは、いつでも元気ね」
「そうだな」
「もう、死んで五年になるのにね」
「ああ」
 ドン。
「…………」
「…………」
「あなた」
「うん?」
「私ね、妊娠したの」
「そうか」
「ええ」
「…………」
「…………」
「引っ越すか?」
「…………」
「…………」
「……やめておきましょう。生まれてくる子だって、お兄ちゃんがいる家のほうがいいでしょう」
「そうだな。その通りだ」
「ええ」
「腹が減ったな。ごはんは?」
「ちょっと待って、今あたためるから」
「俺たちはきっと、狂っているんだろうな」
「そうね」
「だけど、幸せだよ」
「私もよ、あなた」
 ……トン。
[ 創作短文 / 2006.05.29 ]





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