やちおさんハイブリッド!

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  • 有賀 冬
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或る管理人の記録

  • ギャー!大変更新しておりませんでした!
    調子が戻り始めたので、またチョコチョコ更新再開いたします。


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[ ラッキーストライク ]

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「今日は最高ラッキー・デー! アンタ、超ツイてるゼ」
「ああ!?」
 ケンカ腰になったのには訳がある。
「俺ァなあ、さっき会社クビになって帰ってきたとこなんだよ」
「それくらい良くある事じゃァないか」
 ヘラヘラ笑う、うさんくさい占い師。殴りかかろうとする拳を必死で押さえる。

 リストラされた事を彼女に報告したら電話を切られ、つながらなくなった。
 家に電話をしたら親父が出た。母親が離婚届を置いて家を出ていったという。
 妹は「へー、大変だね。ところでお金貸して?」
 帰りの電車ではずっと、送別会で渡されたサボテンにチクチク刺され続けていた。
 来月からタバコも値上がりする。
 幸せなんてどこにある? 教えてくれよ、今、すぐ、ほら!

 まくしたてようと口を開いた瞬間、占い師の指が目の前に突き出された。
 迷いのない、すらりとした腕が横に動いていく。
 俺は思わずその先を眼で追った。
 ガムの吐き散らかされた歩道、白いガードレール。その先の交差点――そこをつきぬけ走ってくる、一台のトラック。
 左右に軋みながら、それでもまっすぐ突っ込んでくる。ヘッドライトがひどくまぶしくて目を細めた。
 それが、最後。



 悲鳴、怒号、クラクション。
 街灯の下、占い師は吹き飛んだ椅子を拾いあげた。ついでに、落ちていたタバコの箱も拾う。
 持ち主である椅子の上の男は、今や壁とトラックの隙間でハムよりも薄くなっている。
 椅子についた砂を払い、元の位置に戻す。パニックの中、そこだけがぽかりと静謐。
 その小さな舞台の上で、占い師はタバコを取り出し、火をつけた。
「ほゥら、今日はラッキー・デー。全てのシガラミは息絶えた。アンタはもう、自由だ」
 紫煙が、魂のように丸く漂う。
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[ 創作短文 / 2006.06.11 ]






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