やちおさんハイブリッド!

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  • 有賀 冬
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或る管理人の記録

  • ギャー!大変更新しておりませんでした!
    調子が戻り始めたので、またチョコチョコ更新再開いたします。


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[ 或る天使の記録 その4 ]

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 むかしむかしのそのまたむかし。
 死体が蘇ってゾンビになるのが普通なくらい、むかしのおはなしです。

 ある村に、男が住んでいました。
 その妻は前述の通りのゾンビでした。腐ってます。
 ゾンビはギャアギャア奇声をあげて、生きとし生けるものを襲うのがおしごと。
 夫はいつも満身創痍で、なのにふしぎと幸せそうでした。

「ほら、ごはんだよ」
 シチューの皿を無視して襲いかかる妻ゾンビ。
 夫は、鋭いアイアンクローを繰り出す腕を、逆手でねじり上げました。
 床に組み伏せると、肋骨の砕ける音にもかまわず、妻の口にシチューをそそぎこみます。
「ははは、おいしいかい」
 夫の笑い声と、妻ゾンビの絶叫。

「さあ、お弁当をつくったよ」
 天気のいい日は、手と腐った手をつないで一緒におさんぽ。
 妻ゾンビの肌が太陽にあたって、じゅうじゅう焦げていきます。
「とっても楽しいね!」
 夫の笑い声と、妻ゾンビの絶叫。

「僕のこと、好き?」
 妻ゾンビは夫の鼻を噛み千切ろうと暴れます。
 夫は顎に拳をたたきこみ、動きの止まった一瞬の隙に、
「チュー」
 夫の笑い声と、妻ゾンビの絶叫。

 夫を「頭のおかしい男だ」と思っていた村人たちの表情にほほえみが混じるようになったころ、村に天使がやってきました。
「腐った醜い怪物を愛するなんて、なんだかとってもすばらしい。これこそ真実の愛だね!
 だから、奇跡を起こしてあげるよ」

 天使が翼を振ると妻ゾンビは生き返りました。
 腐った肉体を脱ぎ落とし、みるみるうちに美しい娘へ。
 ざんばら髪は、金糸のように。にごった肉はすべすべの白い肌に。扇のかたちのまつげを持ち上げると、村人たちが思わずためいきをつくほど深い色の瞳があらわれました。
 その目に夫をうつし、妻は頬をばら色に染めました。
「ありがとう、あなた。今までひどいことをしてごめんなさい。ずっと、あなたをあいしていました」 
 その愛らしい、赤いくちびる!

 夫は妻の頭蓋を叩き割りました。
 しゃっくりのような悲鳴をあげて、妻は死にました。
「どこにいったの」
 夫はうめくように言いました。
「騙されるものか、けがらわしい白蛇のような女め。僕の妻を返せ。返せ!」
 妻の死体をゆさぶる夫を見て、天使は人の好みはいろいろだなあということを学びました。

 どれだけキスを重ねても、全てが腐って骨になっても、妻が動くことはもう二度とありませんでした。
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[ 創作短文 / 2006.07.06 ]






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