やちおさんハイブリッド!

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  • 有賀 冬
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或る管理人の記録

  • ギャー!大変更新しておりませんでした!
    調子が戻り始めたので、またチョコチョコ更新再開いたします。


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 珠子ちゃんの毬は赤い毬。
 金糸の縫い取り、月のもよう。はずむたんびにちりちりちり、奇麗な音がちりちりちり。
「中にね、銀の鈴が入っているのよ」
 おっとりとした声で珠子ちゃんは言う。
 あやは唇を噛む。

 珠子ちゃんは綺麗。
 まっしろの顔もさらさらした黒髪も、人形のように綺麗。
 着物だって、あやみたいなお古のお古、足元がすりきれたようなやつじゃない。
 珠子ちゃんちはお金持ち。
 キネマに出てくるような毛足が長い、外国から来た猫がいる。あやの家のみすぼらしい子猫とは別の生き物のみたいな。
 珠子ちゃんは優しい。
 めったに食べられない甘いあまいお菓子をくれる。
 ずっとずっと友達でいてね、って。

 だけどそのたびに、あやのこころに何か、むかむかするものがたまっていくのだ。
 砂時計のように少しずつ、黒く。
 笑う顔がゆがんでいって、とてもみにくいものになった気がするのだ。
 だけど、今日はちがう。

 ――れんげ はこべら ほとけのざ
 ――散らしてべべを飾りましょ

「あ――」
 手鞠歌が止まる。
 転々、珠子ちゃんの毬が転がり落ちた。
 あやは笑う。
「珠子ちゃん、下手ね」

 あやの毬は黒い毬。
 おばあのほどいた着物で、あやが作った。
 みすぼらしくてちょっとゆがんでいるけれど、ぽぉんぽぉん、踊るようにはずむ。
「あやちゃんの毬、あたらしいのね」
 ものほしそうに、珠子ちゃんが尋ねる。あやは得意げに声をひそめた。
「あのね、中にね――」

 そいつは地面を蹴るたびに、にゃあにゃあにゃあと声をあげた。
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[ 創作短文 / 2006.08.03 ]






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